「2015年」の記事一覧

2015年の投稿


原本・正本・謄本・抄本の違い

原本・正本・謄本・抄本のそれぞれの違いはなんでしょうか?

それぞれの意味を見ていきましょう。

 

「原本」・・・記載内容が作成者自身の思想によって作成された文書であり、正本・謄本・抄本のもととなる文書

 

ようするに、全てのもととなる文書であり、一つしか存在しない文書ですね。

裁判所や公証役場で保管しており、持ち出すことは出来ません。

 

「正本」・・・原本の全部の写しであり、法律に定めがある場合に、権限のあるものにより作成され、原本と同じ効力があります。

 

「謄本」・・・原本の全部の写し。

 

「抄本」・・・原本の一部の写し。

 

ここで、「正本」と「謄本」の違いですが、内容は全く同じですが、最後の認証文が「正本」か「謄本」かの違いです。

但し、判決による登記または債務名義による強制執行をする場合は、「謄本」ではだめで、必ず「正本」でなければいけません。(民事執行法第25条)

また、戸籍は「正本」が存在せず、「謄本」か「抄本」しかありません。


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労災保険について(その2)

業務中や通勤途中にケガをした時は労災保険を使うことができ、全額労災保険から給付を受けることが出来ます。

例えば自転車で通勤中の時に転倒し、ケガをした時は健康保険は使うことが出来ず、労災保険を使わなければなりません。

労災保険指定医療機関であれば、給付請求書を病院に提出することで自己負担はありません。

上記の医療機関以外であれば、いったん治療費を立て替えてから、給付請求書を労働基準監督署に提出することによって、全額支払われることになります。

もし、労災なのに健康保険を使っておれば、切り替えをしなければなりません。まずは病院に切り替えが出来るかどうかを確認し、切り替えが出来るなら直ぐに手続きが出来ますが、切り替えが出来なければ、一旦全額を負担し、全額が支払われるまでに数か月かかることになります。

以上のことから、業務上や通勤でケガをした場合は、労災に適用されるかどうかを確認し、労災が適用されるなら、労災を使うようにしましょう。特に労災隠しは違法行為に当たります。


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遺言について(その2)

遺言が必要性な時とは、どんな時でしょうか?

①推定相続人がいない

②内縁関係の相手方に財産を移したい

③夫婦間に子供がいない

④推定相続人の中に行方不明者がいる

⑤相続させたくない相続人がいる

等々あると思います。

①の場合、相続人がいないときは相続財産は、最終的には国庫に帰属します(民法959条)。そのため、世話になった人やある団体に財産を残したい場合、遺贈をする遺言を作成します。

②の場合は内縁関係の相手方には相続分はありません。あくまでも婚姻が必要であるので、内縁の相手方に財産を残すためには遺言を作成しなければなりません。(特別縁故者の制度もありますが、裁判所の審判が必要であり、遺言を残す方が実用的です。)

③夫婦間に子供がいない場合、相手方に財産を全部相続させる遺言を作成していれば安心です。兄弟姉妹には遺留分がないからです。

④遺産分割をするには相続人が全員でする必要があります。相続人が行方不明の場合、不在者財産管理人の選任を申し立て、不在者財産管理人が遺産分割に参加することになり、手間暇がかかります。

⑤の場合は、遺留分を侵さない限度で遺産の分割を指定することが出来ますし、また、特別な事情があればその相続人を廃除することもできます。

遺言は、意思能力があり、15歳以上でるならば(民法961条)、誰でも残すことが出来ます。

特に意思能力があるかどうかは重要であり、本人の意思の基づく遺言でなくてはなりません。

成年被後見人も遺言を作成することはできますが、正常な状態で、医師が二人以上立ち会わなければならないため、あまり現実的ではありません。

このため、遺言はなるべく元気なうちに作成することが、後々のトラブルを避けることになると思います。


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労災保険について(その1)

労災保険について

労災保険は、農業などの一部の業種以外は、労働者を一人でも使用すれば適用事業となり、強制加入となっています。

労災保険は従業員のための保険であるので、業務上または通勤によりケガをした場合などに給付される保険です。種類としては以下のものがあります。

1.療養給付
労働者が業務上または通勤による傷病により、労災指定病院で受診した場合は、傷病が治癒するまでの間は病院代が無料になるという制度です。労災指定病院以外で受診した場合は、病院代をのちに還付してもらうことになります。
ちなみに業務上または通勤による傷病なら健康保険は使えません。原則、労災に該当します。

2.休業給付
労働者が業務上または通勤による傷病の療養のために休業し、賃金を受けない日の第4日目以降から賃金の6割が支給されます。3日目までは事業主が支払う義務があります。

その他の保険給付としては、傷病年金、障害給付、遺族給付、葬祭料、介護給付等があります。

保険料について
保険料は全額事業主負担であり、業種によって料率が決まっており、ケガなどが多そうな業種ほど料率は高い傾向にあります。
卸売業・小売業・飲食業で賃金の1000分の3.5 建設業で1000分の13となっています。

加入しないとどうなるかですが、「労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行わなければならない。」(労働基準法第79条)となっており、本来なら使用者が支払うべき補償となっています。労災保険に入っていれば、労災保険から給付を受けることが出来ますが、加入していなければ事業主に請求が来ることになります。

もし、通勤途中で従業員が亡くなった時に、遺族補償給付が支払われた場合、故意に加入しなかった場合は100%事業主負担とり、賃金日額×1000日分となり、賃金日額が1万円なら1000万円が事業主に請求されることになります。
また、重過失の場合は40%が事業主負担となります。
この場合の故意とは、行政からの指導を受けているにも関わらず、労災の加入手続きをしない場合が該当し、重過失とは指導はされていないが、適用事業所になった時から1年を経過しているが加入をしていないときに該当します。

これは労働基準法に定められた法律であり、無過失責任でありますが、それ以外には民事訴訟で事業者の使用者責任や、債務不履行(安全配慮義務)などで、訴訟が提起される恐れがあります。


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